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●福井先生

 

本当ですね。見ていてワクワクしました。とくにスウェーデン・ボローズで、インタビューに答えていた人が、運転手も良い人ばかりと仰っていました。あれは重要なキーワードだと思います。ただ運転して安全に連れていってくれているだけではなく、ある程度のコミュニケーションのスペースにもなっていますね。雰囲気等がバスの空気を支配するところがありますので、サービス業としての勤めもバス事業として自覚していただいて、運転手のサービス的な精神素養のようなものにも力を入れていただきたいと思います。

 

●國友先生

 

当然事業者の勤めとして、ホスピタリティの充実ということが重要となります。私どもでは社員に常に言っており、比較的褒めていただくケースが多いようです。しかし、なかにはバスが遅れてイライラしてお客に叱られたら少し口応えをしてということもないことはない、人間の情けない性でしょうか。

 

●藤田コーディネーター

 

太田さん、かねて地域とバスの関係について青森県の弘前市や四日市が参考になるということを仰っていらっしゃいますが、具体的にお話いただけますか。

 

●太田先生

 

地域が支えるという意味で大変参考になりますのが弘前市の例だと思います。弘前を中心にした広域市町村圏ではバスが衰退傾向にあり、これに対して地域が全体で支えていこうという形で一定のサービスとして1日何回とかを皆で協議した上で、バス事業者にはできるだけコストを切り詰めるような努力をしていただき、サービス提供に係る費用を確保するため、市町村が一体となり運行補助をしようという試みが日本ではじめてだと思いますが、広域的にお金の面で一般財源の方からサポートするような仕組みが始まっています。
そういう意味では今までバスとか事業者だけがやればよいというような姿勢が市民や都市・行政が巻き込まれた形で動き出したという非常に良い例と思っています。
四日市では、商店街の活性化という面でバスが活用されています。駐車場と商店街が少し離れているため、その間をループバスと称する楽しいレトロ調のミニバスが導入され、無料で運行しています。こういった類の短距離コースとしての歩行支援が、交通手段というより活性化ということで行われている例だと思います。幾つかの都市でも同じようなバスの導入が始まっていると思います。千葉市その他でも検討している話を聞いたことがあります。こうした意味では一つの新しい動きだと思います。
住宅地で行っている武蔵野のケースと、都心の中を循環したり、買い物バスにしたりするケース、公共の施設を巡回するようなタイプもあり、今まで事業者ベースでは出てこない新しい発想のものだと思います。このように市民に密着した新しいサービスがどんどん開拓されるということが必要になってきていることだと思います。

 

 

 

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